パキスタン駆け足紀行33
真っ暗闇の中、懐中電灯の明かりだけが 足元を照らします。 漆黒の空と山肌の暗がりとの境も定かではありません。 もう、東京に住んでいると経験の出来ない、夜の暗さです。 真夜中の3時にホテルを出て、 この「ワシの巣」へご来光を見るために登っています。 「ワシの巣」は、ウルタル峰からなだれ落ちる尾根の末端に 盛り上がったコブのような場所です。 ここは、氷河の削ったU字谷の頭の部分にあたり、 U字谷の底にあたる部分に開けた、フンザが一望できるはずです。 段々、空がうっすらしらみ始める頃、「ワシの巣」に到着です。 ゥゥ~寒い! トレーナーの上に防寒着を合わせて来たけど、それでも寒い! ガイドさんが、熱いお茶をポットから注いでくれます。 足踏みしながら待つことしばし。 空がずんずん、明るくなり始めると、薄紫路から淡いピンク そして、茜色に染まってきます。 さあ、カメラの準備に大忙し。 正面の氷河の山々が、一気にオレンジ色に輝きはじめました。 うっすら雲をたなびかせて、この近辺の最高峰ラカポシの 朝焼けです。 ラカポシに日が当たり始めると、その後はあたり全体が 一気に目覚めます。 三角錐のようなスパンピークにも、朝日があたり、 その太陽の光の矢が、どんどん下がり、 フンザの村へも届きだします。 フンザの目覚めです。 遠くの方から、鶏の鳴き声も聞こえてきます。 もう、目頭が熱くなるほどの感動です。 寒さも忘れて、写真を撮り、また目をこらし、山々を眺めます。 そして、最後の最後に、背後に聳えるウルタル峰にも 日が差し、針のような鋭く尖った峰が 黒く見えるほどの群青の空に浮かび上がっています。
ひとしきり、展望を楽しんでから、ホテルまで戻り 朝食を食べたのち、いよいよこのフンザとも お別れです。
今日は、これから、また長い時間、 往路にも通った、ラキオット橋まで、ヨタ車で揺られての旅です。 そして、そこから ヒマラヤ山脈の最西端の8000m峰、 ナンガパルバットのベースキャンプまでの トレッキングが待っています。
写真は、「ワシの巣」から望むラカポシ峰の朝焼け
「さみんの雑記帳」2006年02月02日
>さみんの旅行日記 目次へ戻る
|