パキスタン駆け足紀行３６
「ワシの巣」からのご来光と大展望の
興奮さめやらずのまま、ホテルに戻り、朝食を食べ、
お茶を飲むのも早々に、出発。
５日間滞在したフンザともこれで、お別れです。
一路、フンザ川に沿って、往路の道をヨタ車を使って、
ギルギット川からインダス河に合流するジャグロット、
温泉の沸く、タタパニと過ぎ、往路でも渡ったラキオット橋まで
一気に、下ってきました。
朝の「わしの巣」では、震えるほど寒かったのに、
ヨタ車で、４時間ほど下ってきたここは、半袖のＴシャツ一枚でも暑い。
車を降りると、建物の日陰に入り少しでも日除け。
ここで、暑いけれでも
これからのトレッキングのために、仕方なしに
長袖のシャツに着替え。
でも、これで正解なのは、すぐに納得します。
さあ、ここからは、ヨタ車を捨て、４人乗りの
小型ジープに乗り換えて、この谷の奥に在る、
タトー村へ、そして
そこからは、徒歩でナンガ峰のベースキャンプへと
向かいます。
ジープは、ラキオット橋を出発すると、すぐに
谷の中へ進んでいきます。
そして、座席に座った我々がこぼれ落ちるような
傾斜になった山道を一気に上っていきます。
道幅は、この車が通れるギリギリ。
その上、谷側に傾いた石ころだらけの悪路です。
断崖を削り、あるいは石垣で補強しただけの
まあ、それはそれは、肝を冷すばかりの道です。
前を行く仲間の乗った車が、断崖から落ちてしまいそうに見え、
カーブを曲がるたびに、その姿を確認しては、ホッとする、
そんな遊園地にある、絶叫マシンより、もっともっと
スリリングな体験です。
幌だけのジープは、カーブを曲がるたびに、
車から体が放り出されそうで、遥か下を流れる谷川が
チラっと覗けます。
どこをどう考えても、この奥に人の住む村があるなどとは
とうてい想像がつきません。
そんな、言葉で表現するのも難しいような道を進むこと、１時間。
ようやく、深い谷を挟んだ向かいの山肌に
山を削った平地と畑らしきものが見えてきました。
それが、この谷最奥のタトー村です。
しばらく進むと、谷も浅くなり川沿いの広場で
車の走れる道は、終点。
周りには、数軒の人家と危なっかしい橋を渡った先に数軒。
まあ、全部で２０戸ほどの集落が、タトー村の全部です。
こんな山奥の、日光も充分に差し込まない断崖に
囲まれた小さな、小さな村タトー。
どうして、こんなところに住むことになったんだろう。
こんな過酷で厳しく、きっと隣の集落までも
歩けば一日がかりのような場所に、何があって
住むことになったんだろう・・・・・
ずっと、そんな事を考えてしまうような村でした。
写真はナンガパルバットへ向けて、断崖の道を
ノロノロと進むジープ。
こんな道を１時間も進むとタトー村が
忽然と現れます。
「さみんの雑記帳」2006年02月02日
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