パキスタン駆け足紀行４５
いよいよ、この天上の楽園、メルヘンヴィーゼとも
お別れを翌日に控え、山の村の男達が
夜の草原でキャンプファイアーをしてくれました。
この乾燥した大地では、薪となる木は貴重品です。
それを、惜しげも無く、盛大に燃やし
炎の周りに集まった我々に、
トウモロコシを焼いてくれたりしました。
こんな時には、我々日本人なら
さしずめ、ビール、ビールってところでしょうが、
彼らは、敬虔なモスリム（イスラム教徒）ですから、
酒はご法度。
いつものように、熱いお茶が振舞われます。
もう、残念！
我々も日本から持ち寄ったお菓子や、つまみなどを
広げて、ミニ宴会となりました。
夜が更けるにつれ、寒さは一段と増し、
防寒着を着込んでも、盛大に上がる炎の当たる腹がわは
暖かいのに、背中はスースーと冷えてきます。
前は燃え上がる炎で、顔が火照り、
ふと後ろを振り返れば、月光に山の稜線がシルエットに
浮かび上がって、その上には、
もう、銀の砂粒のように満天の星です。
そして、夜目にも、ナンガパルバットの巨大な白い山が
迫って見える、最高に贅沢な一夜となりました。
私は、まだまだ続きそうな焚き火パーティを
明日のことを考え、午前様になりそうな時間に
抜け出し、自分のテントへ戻り、寝袋にもぐりこみました。
しばらくは、ミニ宴会の歌声などが聞こえてきましたが、
いつしか、グッスリと寝てしまったようです。
翌日、聞いたところによると、夜中の３時まで
宴が続いたとのことでした。
それより、もっと驚いたことには、翌朝に
顔を洗いに水場へ行ったら、すでに村の男達は
何事も無かったように、木を切ったり、家畜の世話をしたりと
働き始めています。
まあ、その勤勉さは、すでに失った昔の日本ですね。
数日間滞在したメルヘンヴィーゼを去る日も
朝から晴れ渡った最上の天気となり、
飽かず眺めたナンガパルバットも、その頂きから
四方に延びた稜線まで、クッキリと群青の空に
線を描いています。
何か、一分一秒でも、ここに留まっていたいのか、
荷物をザックへ仕舞うのも、テントを撤収するのも、
ノロノロとしてしまいます。
ガイドさんに促されて、しぶしぶ出発したのは
もう随分と日も高くなってからでした。
今日は、タトー村まで下り、それから
来たときのあの断崖の悪路をジープに揺られ、
ラキオット橋で、ヨタ車に再乗車して、
カラコルム街道をベシャームの村まで、戻って行く長い行程です。
写真はキャンプファイアーに集まってくれた、
村の男達です。
かれらは、こんな薄着で極寒の夜を過ごします。
「さみんの雑記帳」2006年02月28日
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